気持ちを伝えること大事ですね

会いたくて、ずっと探し続けた魂

彼女の魂は、ただひたすらに「大好き」という気持ちで満たされていました。
その愛は、命が尽きたあとも続いていたのです。

大切な人を、ずっと探し続けていました。
思い出の場所も、彼の声も、笑顔も、すべてを覚えていて。
もしかしたら、またどこかで会えるかもしれない――
そんな想いを胸に、彼女の魂はこの世界に留まり続けていました。

彼の近くには行けなかったけれど、
遠くからそっと見守っていた彼女。
笑顔が見えるだけで、幸せだったのでしょう。
その人が幸せでいてくれることが、ただただ嬉しかったのです。

彼の良さも、やさしさも、誰よりも知っていた彼女。
その想いを、どこにも出せずに抱えてきた年月の重さが、
私にも痛いほど伝わってきました。

だから私は、そっと彼女に提案しました。
「その気持ちを、少しだけでも出してみよう」って。

だれかを大切に思う気持ちは、こんなにも美しく、
こんなにも強く、生き続けるのだということを、
彼女の魂は、静かに教えてくれました。

「すき」が届いた瞬間

思っていたよりも、大きな声が出たことに彼女は驚きました。
それは、ずっと胸の奥にしまい込んでいた「すき」という気持ちが、溢れ出した瞬間でした。

空に向かって声を出すと、どこかにいるかもしれない、あの人に届くような気がして。
その声が空に届いたとき、彼女は不思議なほどの安心感に包まれたのです。
「聞いてもらえた」――そんな実感が、嬉しさとして彼女を満たしました。

すると、まるでその想いに応えるように、彼が姿をあらわしたのです。
それは、私自身も驚くほどの展開でした。

彼はもう、ずいぶん前に亡くなっていたようでした。
けれどその魂は、とてもやさしい光に包まれ、彼女の前に現れました。
そして彼女の頬に、そっと手を触れたのです。
やさしくて、あたたかくて――確かに、そこに「愛」がありました。

彼の手が触れた瞬間、彼女の中にあった固まっていた感情が、少しずつほどけていきました。
ずっと苦しかった想いが、溶けて、流れて、あたらしい感情に変わっていくのが見えました。

「ずっと……これからは、一緒だよ」

そんな想いが、彼女の心にまっすぐ伝わってきたのです。

恋をすること、誰かを大切に思うこと。
その気持ちは、ときに人を強くします。
魂が成長するきっかけにもなります。

彼女と彼の再会は、私に改めて教えてくれました。
「想いは伝えることができる」ということ。
そして、「愛は、形を変えても生き続ける」のだということを。