どうか 大切にしてね。

この魂は、これまで出会ってきた魂たちとは、どこか違っていました。
わたしの体は心残りの魂がくると、首がどんと重くなり硬直していきます。
その存在は、とても遠慮がちで、静かで今までの魂たちと違いました。
そっと、やさしく、自分のことを伝えてくれたのです。
きっと、穏やかで人の良い、平和な時代の豊かな男性だったのでしょう。
「何を語ってくれるのかな」と、静かに耳を澄ませていたのですが、
恨みや怒りに満ちた魂とはまったく違い、
彼の真摯で誠実な想いに、わたしは驚かされました。
こんなにも静かに、深く、
「どうか自分のことを伝えてほしい」と願う魂がいる。
その姿を、どうしても伝えたくて、この物語をつくりました。
わたし自身も、精一杯、
いまの命を大切に生きていきたいとあらためて思わされました。
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