
🌙 月の光と魂の記憶
― まだ生きたかった ―
彼は、とてもまじめで誠実な人でした。
「NO」と言えなくて、誰かのために、ずっとがんばってきた人。
頼まれた仕事を一生懸命にこなして、
からだが「もう無理だよ」と伝えていたのに、
それにも気づかずに、自分を後回しにしてきたのです。
本当は、帰りたい場所がありました。
休みたい気持ちもありました。
だけど、真面目な彼は「逃げちゃいけない」と、自分を責めて、頑張り続けたのです。
そして、最後にこう伝えてくれました。
「もっと、自分のからだを大切にすればよかった」
「あなたには、こんなふうになってほしくない」
深々と頭を下げ、静かに感謝の想いを残して――
彼は、光の方へと帰っていきました。
魂の記憶のもうひとつの出会い
これまで出会った魂の中で、あんなにも深い感謝の気持ちを静かに示してくださった方は、今回で二人目でした。
一人目は、戦争でお母さんのもとに帰れなかった方。
そして二人目が、今回ご紹介した魂の方でした。
今度の魂は、私の中に映像としてはっきりと姿を見せてくれました。
その方は、あまりにも一生懸命に働き続けたため、知らず知らずのうちに、自分の体の限界を超えてしまったようでした。
小さな頃の思い出――子どものように無邪気に遊んでいた風景、宝物のような時間――
そうした記憶が、あたたかくやさしい映像として伝わってきました。
けれど同時に、彼はとても長い間「ぐっすり眠ること」ができなくなっていたのです。
休んでいるようで休めていない、浅い眠りの連続。
やがて睡眠薬に頼るようになり、「少し眠れたような気がする」ことで、心を保っていたようでした。
そのうち、眠るための薬の量も増え、お酒の量も増え――
結果として、事故のような形で、命を終えてしまったのだと感じます。
けれど、魂として現れた彼は、まだ「お仕事をする気持ち」を強く持っており、自分が亡くなったという感覚さえ曖昧なままでした。
何より、彼は「お母さんのことを心配している」と何度も伝えてきました。
そして最後に見せてくれたのは、子どもの頃、友達と遊んでいたときのきらきらした記憶。
その映像に包まれながら、「ああ、帰ればよかったんだ」と気づいた瞬間――
彼は美しい光に包まれていきました。
最後には、深く深く、まるで地に届くようなお辞儀をして、
そのまま静かに、きれいな光の中へと還っていかれました。
その姿は、忘れられないほどやさしく、美しかったのです。
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